真夏に大きな台風が来て、もしも電気が止まったら……。
「エアコンがつかない部屋で、うちの子大丈夫かな?」と不安になりますよね。
「数日くらい、うちわで仰いで冷たい水を飲ませればなんとかなる…よね?」と思いたいところですが……現実は厳しいようです。
私が体験した2019年台風15号、これは最大64万戸が停電し、完全復旧までに2週間以上かかった災害でした。
この時の被害の公式データ(千葉県防災危機管理部発表)によると
災害関連死9人、うち熱中症の疑いで死亡4人
約半数の4名もの方が「停電による熱中症」が要因で命を落とされているんです!
真夏の停電は、本当に「命に関わる災害」なんです。
あの停電で子どもを熱中症にしかけてしまった母として、薬剤師としての視点から「子どもの命を守るための脱水・熱中症対策の備蓄と知識」をガチ解説します。
今すぐAmazonや楽天で揃えられるものばかりなので、大切な家族のために、今日ここで対策しておきましょう。
水不足が引き金に!脱水症から熱中症へ進む危険なパターン
「熱中症」と「脱水症」、なんとなく同じように思えますが、脱水症がどんどん悪化して「体温調節がうまくいかなくなって、体に熱がこもる状態」になると熱中症です。
- 第一段階:脱水症(水分と塩分が足りない)
- エアコンの切れた室内にいると、体は汗をかいて必死に体温を下げようとします。
- このとき、体から「水」と「塩分(電解質)」がどんどん失われ、体の中がカラカラになった状態が脱水症です。
- 第二段階:熱中症(脳の温度が上がり、ブレーキが壊れる)
- 脱水が進むと、体はこれ以上水分を失うまいとして、なんと「汗を止めて」しまいます。
- すると体温を逃がす方法がなくなり、体の中に熱がこもり、脳や内臓の温度が40度を超えるような危険なレベルまで急上昇します。これが熱中症です。
つまり、熱中症で我が子が倒れるのを防ぐためには、手前の「脱水のサイン」にどれだけ早く気づいて食い止められるか、どれだけ脱水を予防できるか、が勝負になります。
【病院?救急車?】ママが迷わないための「危険度チェック表」
言葉で「苦しい」とうまく言えない小さなお子さんや、ワンオペでバタバタして余裕がない時でも、これだけは絶対に覚えておいてほしい「初期症状(サイン)」と「対応の目安」をまとめました。
最新の救急医療ガイドライン(熱中症診療ガイドライン2024)の基準をベースに、ママの目線で分かりやすく分類しています。
停電時はクーラーや冷蔵庫が使えないので、それを前提に行動を限定してあります。
| 危険度(重症度) | 子どもの様子(初期症状) | ママが今すぐ取るべき行動 |
| 【危険度:小】 (ガイドラインⅠ度・軽症) | ・めまい、ふらつき、立ちくらみを訴える ・急に大量の汗をかきはじめる ・筋肉痛 | 【今すぐ中から冷やす!】 ・太い血管を冷やす、霧吹きと風や、水浴びで体を冷やす。 ・これ以上部屋を暑くしない工夫をする ・スポーツドリンクや、塩タブレット、経口補水液で、水分と塩分をガッツリ補給させる。 |
| 【危険度:中】 (ガイドラインⅡ度・中等症) | ・頭が痛いと言う ・吐き気がする、実際に吐いた ・体がだるくて、ぐったりして動けない | 【黄信号!病院へ行く準備を!】 ・太い血管を冷やす、水浴び等で急いで体を冷やす! ・自分で水分が飲めるなら経口補水液を飲ませる。 ・水分を受け付けない、吐いてしまう場合はすぐに病院へ!(点滴が必要です) |
| 【危険度:大】 (ガイドラインⅢ〜Ⅳ度・重症) | ・意識がうつろ、呼びかけへの返事がおかしい ・体がガクガク震えている(けいれん) ・皮膚を触ると信じられないほど熱い | 【119番通報!ためらわず水風呂・シャワーへ!】 ・直ちに救急車を呼ぶ! ・救急車を待つ間、1秒でも早く外側から強力に冷やす(水浴び、太い血管を冷やすなど) |
停電時は病院受診も難しかったり、救急車もすぐには来ない可能性があります。
こうなる前に、こまめな水分補給で脱水と熱中症を予防することが何より大切です。
次の章では、予防のためにどうすべきかまとめました。
飲みすぎもダメ!?正しい熱中症予防と「こまめな水分補給」の正体
熱中症予防のための正しい水分補給は
一度にたくさん飲むのではなく「こまめに、少しずつ」かつ「塩分も加える」がポイントです。
「熱中症が怖いから、とにかくたくさん水を飲ませなきゃ!」とがぶ飲みさせるのはNG。
実はこれ、「水中毒(低ナトリウム血症)」という、最悪の場合命に関わる危険な状態を引き起こす原因になります。
汗をかくと、体から水分と一緒に「塩分(ナトリウム)」も抜けていきます。その状態で「ただの水」だけを急激に大量に飲むと、血液中の塩分濃度がガクンと薄まってしまいます。
腎臓の処理能力を超えて血液が薄まると、脳がむくみ、頭痛や吐き気、ひどい時には意識を失ってしまうことも…。
脱水と熱中症を予防するには、適量の水分と塩分をこまめに水分補給しましょう。
こまめな水分補給の「こまめ」って、具体的にどのくらい?
ガイドラインや専門医の推奨する基準を、子どもの生活リズムに落とし込むと、ずばりこのペースが目安になると思います。
【うちの子だとどのくらい?】脱水時に3〜4時間で飲ませる水分量一覧
ガイドラインの基準(体重1kgあたり50〜100ml)をベースに、子どもの体重別の目安表を作りました。
スマホでスクショを撮るなどして、万が一のときにすぐ見られるようにしておいてくださいね。
| 子どもの体重 | 3〜4時間かけて飲ませる総量の目安 |
| 10 kg (1歳半〜2歳頃) | 500 mL 〜 1,000 mL (ペットボトル1本〜2本分) |
| 15 kg (3歳〜4歳頃) | 750 mL 〜 1,500 mL |
| 20 kg (5歳〜6歳・小学1年頃) | 1,000 mL 〜 2,000 mL (1L 〜 2L) |
| 25 kg (小学2年〜3年頃) | 1,250 mL 〜 2,500 mL |
| 30 kg (小学4年〜5年頃) | 1,500 mL 〜 3,000 mL (1.5L 〜 3L) |
※上記はすでにめまいや軽いぐったり感などの「脱水症状」が出ているときの、経口補水液(OS-1など)を飲ませる場合の基準値です。

薬剤師ママのリアルな飲ませ方テクニック
もし子どもが「ちょっと気持ち悪い」「吐き気がする」とぐったりしている場合、一気に飲ませると、その刺激でドバッと吐き戻してしまい、さらに脱水が悪化します!
そんな時は、医療現場でも行う「5分おきに、スプーン1〜2杯(またはペットボトルのキャップ1〜2杯:約5〜10ml)」という超・小刻みなペースから始めてください。
吐かせずに体内に水分を吸収させるには、この「5分おきに小さじ1杯」から始めるやり方が一番の対策です。
吐かないことを見届けながら、徐々に1回の量を増やしていきましょう。
【オムツ・トイレで一発】体重計がなくてもわかる!子どもの「脱水サイン」
ガイドラインには「脱水所見は体重の減少が目安」と書かれています。
ですが、毎日体重を図ってるわけではないので、イマイチ現在の体重に自信が持てない方もいますよね。
そんな時、体重計の代わりに子どもの体を守るセンサーになるのが、「おしっこ」です。
以下の状態が見られたら、喉が渇いたと本人が言っていなくても、体の中は完全にカラカラ(脱水サイン)です。今すぐ積極的に水分と電解質を飲ませてください。
体の水分が足りなくなると、腎臓は「これ以上水を外に出すな!」と必死にストップをかけるため、おしっこが濃縮されて色が濃くなります。
バタバタしている避難時でも、トイレやオムツを替える時にこれだけ意識しておけば、ママが迷うことはありません!
賢く備える!薬剤師ママが「成分と効率」で選ぶ熱中症対策の備蓄品リスト
ここからは、薬剤師としての経験と、ワンオペママとしての現実的な目線で厳選した「真夏の停電時に本当に役に立つ備蓄品」を一気にご紹介します。
夏本番が来て売り切れる前に、今すぐここからAmazonや楽天のカゴに入れておきましょう!
水分・塩分を補給するアイテム
命を繋ぐための水の備蓄(ペットボトル箱買い)
脱水対策の飲み水としてはもちろん、いざという時の冷水シャワーや体に吹きかける用としても、水は多すぎるくらい備蓄しておいて損はありません!
スポーツドリンク(粉末パウダータイプ)
「うちは水があるから大丈夫」というママ、水だけのガブ飲みは「水中毒(低ナトリウム血症)」を頭痛や吐き気を引き起こす原因になり危険です。
スポーツドリンクの備蓄が一番楽なのでおすすめ。
場所を取らない粉末パウダーをローリングストックするのが賢い方法です。

糖分が多いので飲みすぎ注意ですが、脱水がなければ水で薄めて飲むのもおすすめ。
我が家では熱で食欲がない時などに、とりあえずこれを飲ませて脱水と低血糖を予防してます。
普段から体調不良時に使って、ローリングストックするのがいいですよ。
経口補水液(OS-1など)
小腸での吸収スピードが水に比べて【約30分も早い】経口補水液。
お値段が高いので普段の予防にガブガブ飲む必要はありません。
これは「すでに脱水症状が出た時」のための『飲む点滴(救急薬品)』として、お守り代わりに備蓄してください。

脱水時にしか使わないので、まとめ買いすると賞味期限切れになりやすいです!
ドラッグストアなどで2~3本くらい買っておくくらいで充分かと
塩飴・熱中症専用タブレット
備蓄用に買い足すなら、裏面の「栄養成分表示」をチェックして、塩(ナトリウム)だけでなく「カリウム」がしっかり入っている熱中症専用のものを選んでください。
汗で一緒に流れ出てしまう電解質のバランスが計算されています。
体を物理的に冷やすアイテム
停電も早い時期なら冷凍庫の中身は無事なので、普段から以下のようなものを冷凍庫にストックしておくといいと思います。
- ペットボトルに水をいれて凍らせたもの
- 余った保冷剤
停電が長引いたときのために、次のような体を冷やすためのものを備蓄しておくと安心です。
瞬間冷却パック
パンチするだけでひんやり冷たくなるアイテム。
我が家では「いざという時の救急医療品」として箱買いして備蓄しています。

「硝酸アンモニウム」が入っていて、「尿素」や「塩化アンモニウム」など全部で2種類以上の成分のものが温度が下がりやすくておすすめ!
普段使わないなら、使用期限が3年以上あるの物を選びましょう。
スタミナ抜群の乾電池式扇風機 & 霧吹き
前回の暑さ対策でも紹介しましたが、停電時の最強相棒です。
霧吹きで体にシュッと水を吹きかけ、この扇風機の風で乾かすことで、熱を一気に奪い去ってくれます。

停電用には、充電式よりも乾電池式がおすすめ
単一電池で50時間動くタイプなら防災用に買っておいて損はないです!
↓停電時の熱帯夜に、この扇風機と組み合わせて「子どもが朝までぐっすり眠れる環境」を作るための冷感寝具・枕の選び方は、こちらの記事にまとめています。
停電時に子どもの体を冷やす3つの方法
「必要なものはポチった!じゃあ、もし実際に子どもが暑さでぐったりし始めたらどう動けばいいの?」
最新の『熱中症診療ガイドライン2024』では、特定の冷却方法に優劣(どれが一番推奨か)はないとされています。
つまり、「その場で使える方法をどれでもいいから全力でやる!」が正解です。
状況に合わせて、以下の3つの冷却方法を覚えておいてください。
方法1:瞬間冷却パックで「3大スポット(太い血管)」を冷やす
狙うべきは、大量の血液が流れている以下の場所です。
ここをガツンと冷やすことで、冷えた血液が全身をめぐり、効率よく体温を下げることができます。
- 首の横(頸動脈)
- 脇の下
- 太ももの付け根(内ももの股関節まわり)

冷たすぎるパックを直接肌に当てると凍傷のリスクがあるので、必ず薄手のハンカチ等に包んでくださいね。
方法2:水風呂や冷水シャワーを浴びせる
断水さえしていなければ、お風呂場へ直行です。
浴槽に水道水を張って衣服のまま首までドボンと浸からせるか、貯めた水がない時はシャワーで冷水を頭から全身に思いっきり浴びせ続けてください。
方法3:霧吹き + 乾電池式扇風機
もし断水してしまってお風呂やシャワーが使えない時は、少量の備蓄水を取り出し、霧吹きで全身にシュシュッと水を吹きかけます。
そこに乾電池式扇風機の風を当てることで、水が気化するときに体の熱を奪ってくれます。
薬剤師ママおすすめ!危険なときの「冷却コンボ技」
子どもの皮膚を触ると信じられないほど熱い、意識がうつろで「これはガチで危険だ!」と思った時は、上記の技を組み合わせた【冷却コンボ技】を救急車が来るまでぶちかましてください。

意識がない時は絶対に水を飲ませちゃダメ!
意識がない・吐き気がある子に無理やり経口補水液を飲ませると、気管に入って窒息するリスクがあり絶対NGです。
外側からの冷却に全力を注いでください。
この【水風呂 ➔ 血管冷却 ➔ 扇風機】のフルコンボが、電気なし環境で出せる最高の冷却効率です。

ちなみにこれ、やると100%泣きます。あちこち水浸しにもなります。
でも2019年の台風停電でうちの子はこれで何とか回復したので、泣かれるのを恐れず頑張ってみて欲しいです。
そのためにも、「水の備蓄だけは、多すぎるくらい多めに!」。これ約束です。
参考文献
- 環境省熱中症予防情報サイト「熱中症を防ぐためには」
- 熱中症診療ガイドライン2024
- 千葉県防災ポータル「令和元年台風 15 号(第 128 報)について」
- 社会医療法人製鉄記念八幡病院「こまめな水分補給の「こまめ」ってどのくらい?」
まとめ:脱水になる前の「予防」と「そのための備蓄」がカギ!
- 真夏の停電は命に関わる災害(2019年千葉停電では関連死の約半数が熱中症)
- 停電時の熱中症の予防には、脱水の予防・早めの対策が大切
- 脱水の予防のために、30分おきにコップ半分から一杯の水分補給と塩分補給
- 塩分補給には、塩タブレットや塩飴、スポーツドリンクがおすすめ
- めまい・ふらつき・頭痛・吐き気など、熱中症の症状があれば経口補水液を【3〜4時間かけて、体重1kgあたり50〜100ml】飲ませる
- 経口補水液がない時の即席レシピ
- 【水 1L + 砂糖 40g(大さじ4と1/2) + 塩 3g(小さじ1/2)】
- レモン汁を数滴たらすとさっぱりして飲みやすくなる
- 熱中症の症状があれば、以下の方法で体を冷やす(全部やっても可)
- 保冷剤、瞬間冷却パックなどで、脇、内ももの付け根、頸動脈など太い血管を冷やす
- 水風呂や水シャワー
- 霧吹きで体に水をかけて、扇風機の風を当てる(気化熱で体を冷やす)
- 熱中症の熱には解熱剤は使わない
- 【停電時も安心の熱中症対策おすすめ備蓄】
- 塩タブレット・塩飴
- スポーツドリンク
- 経口補水液
- 瞬間冷却パック
- 乾電池式扇風機
- 霧吹き
いかがでしたか?
今のうちから、お好みの塩タブレット、塩飴などをいくつか買って、外でのレジャー時に食べ比べてみてくださいね。
「うちの子はこれが好き!」というものを見つけておくのが、立派な防災です。
また夏本番に向けて、普段からエアコンの効いた部屋に引きこもりすぎず、ちょっとお外に出て「優しく汗をかく練習」をさせてあげてください。
普段から汗をかき慣れて、塩タブレットを食べ慣れていること。
その「いつもの習慣」が、いざという時に子どもを脱水から守る盾になります。
早めの対策で、猛暑の停電に備えていきましょう!
↓こちらの記事では、「なるべく部屋に熱を入れない」外側からの対策をまとめました↓
両方対策すれば、より停電に強くなれます!




